ブレイキング・バッド シーズン2 第1話より:

lay it on me
説明して


ウォルターとジェシーは自分たちで盗み出した30ガロンのメチルアミンのおかげで
どうにかトゥコと約束した分量のメスを納入出来たのだが
その受け渡し時に、トゥコが仲間の一人を殺害してしまう。

図らずも殺人の目撃者となってしまった二人は
もしやトゥコが今度は自分たちの口封じにやって来るのではと気が気でない。

そこでトゥコにやられる前に、彼を始末しようという話になるのだが
何しろその筋では素人同然の二人だけに、双方ともに相手任せで一向に手を下せない。

しかしついに恐怖に耐えかねたジェシーがどこからか銃を調達してきて、
二人で一緒にやろうと言う場面からです。

Look, it’s got five bullets.
見ろよ、弾は5つある。(ジェシー)

(中略)

Say we get a second gun, right, for you.
もう一つ銃を用意しよう、先生にも。(ジェシー)

I mean, don’t we like, double our chances? I mean, mathematically.
つまり、そうすりゃあれだよ、チャンスも2倍になるだろ? 数学的に言って。(ジェシー)

I’ve got a better idea.
それよりいい考えがある。(ウォルター)

What is it, Mr. White? Lay it on me.
そいつはなんだい先生? 説明してくれよ。(ジェシー)


lay it on me は、この場面では「説明してくれ」となっていますが
実際には多くの解釈があると思います。

分解してみると lay「横たえる、寝かす」 on me 「私の上に」ですから
lay it on me は直訳すると「私の上にそれを広げて、横たえて」となります。

ここでジェシーの示す it は「ウォルターの考え」のことですので
「あなたの考えを私の上で広げて、展開して=説明してくれ」という解釈なのだと思います。

しかしここで私が思い出すのは Information Society がカバーしたABBAの名曲、
Lay all your love on me です。


これも lay (it) on me とほぼ同じ文型ですが
その意味は「私にあなたの全ての愛を注いで、あなたの愛を全部アタシにちょうだい!」となり
「あなたの愛をワタシに説明して」ではないのです。

この歌の内容は、浮気な恋人に傷つけられてばかりの女性(カバーでは男性)が、
他の人に目を向けないで、ワタシだけを愛してちょうだい、と訴えるというもので
この場合は「あなたの愛を私の上に広げて」、
つまり lay it on ~ の持つもう一つの「こってり塗りたくる」という意味がピッタリはまります。

こうして考えてみると、lay (it) on (someone) というイディオムは
一つに意味を限定することは難しく、状況に応じて解釈が変わることが分かりますね。

しかし一つ共通して浮かぶイメージとしては、
相手の考えや感情などを自分に向けてくれ、自分に塗りたくってくれ、ということで
こちらは受身、自分の上に被さってくるものを全身で受け止める、といったもので
このイメージを状況に応じて自分なりに展開してみれば、
そう大きく意味を外すことはないのでは、と思います。



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