カウンターで私を出迎えてくれたボスは、
私の予想に反して、
カリムより10歳くらい年長のトルコ人の男性で
有難いことに日本語がかなり堪能な人でした。

それならこちらもしっかり希望を伝えられるので
あまり心配することもないだろうと、
カッパドキアとパムッカレに行くツアーを組みたい旨を伝えると、
ボスはニッコリ笑顔で

「ちょうど3日後に出発予定の、
日本人女性が一人で申し込んだツアーがあるので
それに一緒に行ったらどうですか?
もし部屋も2人で一部屋使ってくれるなら、料金も安くできる」

というオファーを持ちかけられました。

こんな都合のいい偶然、あるんでしょうか?

おまけにその女性は今、お茶を飲みにきているから
会ってみてはどうかというので、
私はその女性に会ってみることにしたのです。

ボスに案内されて、
ソファとテーブルが置かれた待合室のような場所に行くと
私と同じくらいの年齢の女性が、
受付にいたトルコ人の女の子と、チャイを飲んでいました。

ボスがその女性、リコさんに私を紹介し、
一緒にツアーに行ってはどうかと話をすると、
ぜひ一緒に行きましょう、
と、あっという間に話が決まり、
料金も常識的と思われる金額だったので、
その場で即決となりました。

こうしてパムッカレ・カッパドキアを巡る旅の手配は
トントン拍子に進み、時間も余ってしまったので、
私もチャイをいただきながら、話の輪に加わり、
彼女たちの話を聞いているうちに
だんだんと、この旅行代理店のことが分かってきました。

どうやらリコさんは、ここのボスの遠距離恋愛中の彼女らしく、
(ボスの日本語が上手い理由が分かりました)
受付の女の子はアイシャという名で、
別の旅行代理店に勤めている、トルコ人の彼氏がいるとのこと。

私をここまで案内してくれたカリムは、
最近入ったばかりの新人で、どうやら自分のお客の売上げを上げるべく
頑張っている最中のようでした。
おそらく自分のお客の売上げに応じて
インセンティブが入る仕組みなのでしょう。

その話を聞いて、
朝から待ち伏せしていた理由が分かり、ホッとしました。


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