もうタイトルからして、不採用だったことが明白なんですが(笑)
ある時、英語学習に関する雑誌を読んでいたら
モナコのローズホテル
(現在のモンテカルロ・グランド・ホテル)というところが、
日本人従業員を募集している、と書いてありました。

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ホテル前のヘアピンカーブ(wikipediaより引用)

モナコのローズホテルと言えば、
毎年開催されるF1のモナコグランプリ
あの見所の急カーブに面したホテルです。

当時の私はF1、というか、
ジャン・アレジとゲルハルト・ベルガーのフェラーリコンビのファンだったのです。

ローズホテルで働ければ、生で彼らを見られるかもしれない!!!

応募動機はただそれだけでした(^^;)

私の英語力ではムリであろうことは薄々分かっていましたが
何がどう動くかは、やってみないとわかりません。
早速掲載されている住所あてに、レジュメを送ることにしました。

しかしそのころの私は、
レジュメが何なのか、何をどう書けばいいのかすら知らなかったので、
ともかく本屋へ行って、英文のビジネスレターの本を買ってきました。

そこには、人事担当の人に向けたカバーレターから
レジュメの作成方法まで、
英語の例文つきで詳しく解説されています。

どうやらレジュメは履歴書のようなものだと分かったので、
これは適当に書くわけにはいきません。
今までの自分の経歴を英文に起こして作りました。

しかしカバーレター。

これはまあ「よろしくお願いします」と一言添えてレジュメと一緒に出す物らしく
なにか特徴的なことは書かなくても良さそうだったので、
本にあった例文を、そっくりそのまま書き写してしまいました。
大体以下のような感じだったと思います。




To whom it may concern,

I am interested in the position advertised on English Magazine.
My resume is enclosed for your review.
I would appreciate your consideration for this job opening.
My skills are an ideal match for this position.

Sincerely yours,

Noah N

ご担当者様

私はイングリッシュマガジンの求人広告に応募したくご連絡差し上げました。
レジュメを同封しましたので、どうぞご覧ください。
今回の求人に際し、お時間を割いていただいたことに感謝申し上げます。
私の能力は今回の求人にふさわしいものであると思っております。

敬具
ノア N




こんなような文章を、便箋に手書きしました。
途中で何度か文字を間違えて、
幾度か書き直しをして仕上げたものを
レジュメと一緒にモナコのローズホテルに送りました。

結果は当然のごとく不採用だったのですが
何度もこのカバーレターを書き直したおかげで
「To whom it may concern(ご関係者様)」が頭にこびりついてしまって
以降しばらくの間、使えそうな時には必ず
「To whom it may concern」を使うクセがついてしまいました(笑)。

そしてこの時の経験から、
上のような短い英文を何度も何度も書き写すという行為は
スペルや語順を頭にしみ込ませるのに有効なんだと実感しました。

ですからライティング能力を鍛える一つの方法として
短めの英文をピックアップして、
それを何回か「手書き」で書き写す
というのは
非常に良いのではないかと思います。

また文字を書くという行為は、
脳を刺激して記憶力を高める効果があるとのことなので
タイピングではなく、
手書きで行うのがキモです。

私は結局、ローズホテルの求人には落ちましたが、
その後「To whom it may concern」を使って応募したある会社に
アルバイトで採用されることになったのです。

そこはアメリカ人上司のいる部署だったので、
(アレジもベルガーもいませんでしたが ^^;)
英語を使える職場環境を手に入れることができました。

give it a shot(挑戦してみる)」という言葉がありますが、
このときの一連の出来事は、
手書きライティングの効果を実感すると共に
ある望みのために、どうなるか分からないけれど挑戦したことが、
別の形で実を結んだという、面白い経験でもありました。


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