ブレイキング・バッド シーズン2 第8話より:

thumb on the scale
自分に有利に影響力を行使する、不当な方法で人をあざむく


ジェシーの仲間でメスの売人であるバッジャーは
割り当てられたブツを売り切ろうと、街中で客を物色していた。

すると見ない顔の男がメスを売ってくれと彼に声をかける。

バッジャーは見慣れない顔の男に一瞬、警察ではないかと警戒心を抱くが
早く手持ちをサバきたいという焦りも手伝い、男にメスを売ることに。

ところが彼の悪い予感は的中し、おとり警官だったその男に現行犯逮捕されてしまう。

初回の取調べではどうにかウォルターとジェシーの存在を隠し通したバッジャーだったが
このまま拘留され続けれは、いつかは彼も口を割ると考えたジェシーは
派手なTVCMで有名な弁護士、ソウル・グッドマンにバッジャーの釈放を依頼することに。

そして早速ソウルが取調べ中のバッジャーの元に駆けつけるというシーンからです。

Right now, you out.
(取調べ中の刑事に向かって)今すぐ出て行ってくれ。(ソウル)

Ten minutes ago! Go on! There are laws, detective.
本当は10分前のはずだがな!ほら早く!法律があるだろ、刑事さん。(ソウル)

(中略)

The cops around here are like butchers, always got their thumbs on the scales.
ここらのデカってのは肉屋みたいなもんでね、汚いやり方で証拠をあげようとする。(ソウル)

But good luck arguing that in court.
けどそこは法廷で突いてやるから安心しろ。(ソウル)


thumb on the scale は「自分に有利に影響力を行使する、不当な方法で人をあざむく」ということで
その前にソウルが「デカは肉屋みたいなものだ」と言っています。

これはどういう意味かと言うと、肉屋の商売道具と言えば量り(scale)、
そして thumb on the scale は直訳すると「量りに親指を置く」、
ズルい肉屋は自分の利益のために目方をごまかす、ということです。

つまりソウルは警察を肉屋に例えることで
「デカってのは目方をごまかす肉屋だ=汚いやり方をする」と言っているわけです。

また scale は「正義」を象徴するシンボルともされていて、それに自らの親指をかけることは
正義を自分に有利に捻じ曲げるというイメージにも繋がるので、そんな連想から
thumb on the scale は「自分に有利に影響力を行使する、不当な方法で人をあざむく」
という意味を表すようになったそうです。

そして今回から登場するソウル・グッドマンという弁護士ですが
この人もドラマの中ではかなり重要な人物になっていきます。

ソウルは弁護士と言ってもかなりスレスレの仕事もする人で
黒も力技で白に変えてしまうような、味方に出来ればかなり心強いタイプです。

ここからどんどん主人公二人は泥沼に嵌っていくんですが
そのドロドロの泥沼から幾度となく二人を引き揚げてくれるのが、このソウルなのです。

しかしヤバい人を引き揚げるには、自分もスレスレのラインまで踏み込まねばならず
ソウルはここから、ウォルターとジェシーとは一蓮托生、裏の主役のような存在になってゆきます。

また本国アメリカでもソウルは相当人気のキャラクターだったようで
ソウルを主人公にしたスピンオフドラマも製作されているようです。



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