「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」シーズン1 第3話より：
no point
無駄なこと、意味がない
エリオットは、自分がMR.ROBOTの口車に乗って
無実の人に濡れ衣を着せてしまった事をずっと後悔していたのだが
その男・コルビーに、新たな余罪が発覚する。
それはエリオットの父が命を落とす原因となった
汚染物質の不法投棄に関する疑惑で、もしこの疑惑が本当ならば
コルビーは自分の父を殺した犯人という事になる。
あまりの事に呆然とするエリオットは
幼い頃、父を亡くしたばかりの自分と母との会話の思い出す。
Don’t look so sad.
悲しまないで。（エリオットの母）
He did this to himself.
お父さんは自業自得。（エリオットの母）
He gave in. He was a coward.
自分から負けた。臆病者よ。（エリオットの母）
He was weak and pathetic, and in the end, that’s what killed your father.
弱虫で情けなくて、結局それで死ぬ羽目になった。（エリオットの母）
（中略）
I miss him.
寂しいよ。（エリオット）
There’s no point to that.
そんなの無意味よ。（エリオットの母）
But I do.
でも寂しい。（エリオット）
Then you’re just as weak as him.
なら父親と同じ弱虫ね。（エリオットの母）
give in 「降参・降伏する、負けを認める、諦める、譲歩する」。
「諦めるな」の意味でネバーギブアップとかドントギブアップというのをよく聞くので
その逆の「諦める、降参する」は、give up でしょ？と思いきや
この give in にも「諦める、降参する」という意味があるんですね。
では give up と give in の違いはというと、同じ「降参する」でも
・give up 「心身ともにお手上げ状態の降参」
・give in 「余力はあるが、諸事情により自分から降参する」
というニュアンスの違いがあるようです。
ネバーギブアップ、というのはスポーツの場面でよく聞くイメージで、
例えば大映ドラマの名作「スクールウォーズ」とか、スラムダンクとか
体力限界まで食らいつけ！あきらめるな！という感じで
翌日の筋肉痛のことなど、考えてはいません。
一方、give in は、例えば人間関係で何かトラブルがあったとして
丸く収めるために自分から折れて謝る、この「自分から折れて負ける」というのが
give in のイメージだと思います。
エリオットのお母さんも、He gave in と言っているので、
何か会社に不利な立場を押し付けられた、訴えを封じ込められたなど
自分より大きな存在に屈服させられた、その結果死んでしまった、という事になります。
彼女は coward（臆病者）、weak（弱虫）、pathetic（哀れ、情けない）など
夫を責めるような言葉を口にしていますが
これは、本当は死ななくても済んだのに・・・という口惜しさの裏返しかもしれませんね。
そして no point は「無駄なこと、意味がない」。
point「要点、論点」がない＝「やっても仕方ない、やる意味がない」ということで
日常会話でも、本当によく出て来る言葉の一つだと思います。
父の死を悲しむ子供に、そんな事は意味がない、あんたも弱虫ね、という母。
エリオットの家庭環境は、なかなかドライな雰囲気です。
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