オーストラリアでホームステイをしていた時、私たち日本の学生は夏休みを利用して行っていましたが、現地では真冬で学校もまだ休みではなく、私たちも向こうのハイスクールに通っていました。

私がステイしていた家は、高校生の女の子と小学生の男の子、それに私と毎朝3人が学校に行くわけで、週に何度かはステイ先のお母さんがランチをもたせてくれていました。

それは大体プラスティックのタッパーに、生のニンジンやリンゴ1個、それにサンドイッチが一包み、それに紙パックのジュースといった感じで、バックパックに突っ込んで歩いていると、ゴロンゴロン、と中身が転がる音がしていました。

それまで日本では母の作るお弁当しか知りませんでしたから、これを初めて持たされた時は、ちょっと驚きました。

これがもし日本にオーストラリアの学生が来たとなった場合、その家のお母さんは結構お弁当作り、頑張るような気がするんです。

何か日本らしいおかずと、洋風のおかず、それに・・・という感じで。

オーストラリアのお母さん、少なくとも私がお世話になった家のお母さんには、そんな気負いは全くなくて、そこが新鮮でした。

何だか日本では、お母さんの手作り料理は愛情の証、という雰囲気があって、簡単な手抜き(と見える)料理ではいけない、みたいな気持ちがすごくある気がします。

サンプルはうちの母ですが、疲れた、とイライラしながらも、絶対に手料理を作る、みたいな人で、その様子を見てイライラした父(笑)が、店屋物でも取るかと言っても、怒りながら作る、みたいな。

うちはそういう感じだったので、例えばお客さん、それも外国から来た子供など居たら、絶対にあれこれ気を回してやろうとする母です。

そんな自分の母親と比べると、ステイ先のお母さんは拍子抜けするほどリラックスしていて、もしお腹がすいたら適当に冷蔵庫にあるものを食べてね、という感じでした。

多分、しっかり料理をするのは夜だけ、あとは自分の仕事もして、家の事も旦那さんと分担で、という感じ。

料理で愛情や気持ちを示すというより得意なこと、この家のお母さんの場合はお裁縫で私を歓迎してくれて、私に水着やブラウスを作ってくれました。

しかし今、自分が毎日台所に立つ身になってみると、実母の影響というか呪縛がすごくあるのを感じます。

別にイライラしてまでやらなくても良いのだろうけど、どうも食事は手作りしないといけないという気になる。

それを毎日続けるのは確かに素晴らしいことですが、主婦だからといって、そんなに料理しなくても・・・という人もこの世の中にはたくさん居るんですよね。

もちろん世界のお母さんを知っているわけではないですが(笑)、別に凝った料理をしないからといって、罪悪感にかられることもない、あのオーストラリアのお母さんのように、もっと気楽にやってもいいんじゃないか、と思ったりします。


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