ブレイキング・バッド シーズン5 第10話より:

turn the other cheek
侮辱を甘んじて受ける、反発(反応)しない


ついに、ハンクがウォルターの正体に勘付く日がやってくる。

ハンクはDEAの敏腕捜査官として、
家族といえどもウォルター逮捕に全力をあげてくることが予想されるが
未だ決定的な証拠が無く、すぐに動くことは出来ない。

一方その間にウォルターは、どうにかハンクの追求をかわそうと
打つ手を相談しにソウルの元にやってきた。

ソウルは証拠を握られていないなら問題ない、しらばっくれろと提案するが
そんな甘い対処ではハンクを止められるはずもなく、二人で頭を抱えてしまう。

そこでいっその事、ハンクを“ベリーズ旅行”に誘ってはどうかとソウルは提案するのだが・・・。

Nothing? Hank knows. That’s not nothing.
何でもないだと? ハンクが知ったんだぞ。何でもないはずがない。(ウォルター)

Yeah. I can’t exactly see him turning the other cheek.
そうだな。彼が見逃してくれるとは思えない。(ソウル)

Well… have you given any thought to, um, sending him on a trip to Belize?
では・・・彼をその、ベリーズ旅行に行かせようと思ったことは?(ソウル)

(中略)

Saul, you better not be saying what I think you’re saying.
ソウル、それ以上は言わない方が身のためだぞ。(ウォルター)

It’s just conjecture on my part.
ただ私の立場として言ってみただけだ。(ソウル)

Hank is family!
ハンクは家族なんだぞ!(ウォルター)

(中略)

My mistake. Family. Off limits, of course.
私の失言だ。家族だもんな。手を触れちゃいけない、もちろんそうだとも。(ソウル)


turn the other cheek は「侮辱を甘んじて受ける、反発(反応)しない」ということで
直訳すると「もう一方の頬を向けろ」、
これはあの聖書の一文「右頬を打たれたら、左頬も差し出せ」を思わせるイディオムですね。

片頬を打たれてもおとなしく反対側も差し出す=「反発(反応)しない」というわけですが
ここでは can’t exactly see him「そんな彼は全く想像がつかない」、
つまり「反発しないわけがない、見逃してくれるはずがない」という解釈です。

conjecture 「推量、憶測、当てずっぽう」。

off limits 「立ち入り禁止、侵せない領域」。

このやり取りに登場する“ベリーズ旅行”ですが、
これは彼らの間の隠語で「葬り去る、始末する」という事で
ウォルターはこれを口にしたソウルに対して烈火のごとく怒るのですが、
実際のところ家族以外にはよく使ってきた手でもあり(だからソウルも提案した)
人間って身勝手よね・・・と、つくづく見ていて思います。



ゆるく学ぼう!海外ドラマで英会話