ブレイキング・バッド シーズン3 第8話より:
turn the tide
(物事の)流れを一変させる、形勢を逆転させる
自分の店のチキンを持って
何者かに襲撃されたハンクの見舞いと、捜査官たちの激励に訪れたガス。
彼こそがDEAが逮捕すべき大物ドラッグディーラーであること知らずに
ガスの協力に感謝する捜査官たちと、ただ一人ガスの本当の姿を知るウォルター。
何食わぬ顔で敵陣に乗り込んでくるガスの大胆さに内心舌を巻くというシーンからです。
Well, we do appreciate your support.
我々一同、ご協力に感謝します。(DEA捜査官)
This reward could turn the tide here. It’ll really help.
この懸賞金が流れを変えてくれるはずです。 本当に助かります。(DEA捜査官)
Again, I can’t express how sorry I am.
改めて、今回の事件を本当に残念に思っています。(ガス)
As it happens, I actually met Agent Schrader.
偶然、シュレイダー捜査官にお会いしたこともあるのです。(ガス)
turn the tide は「(物事の)流れを一変させる、形勢を逆転させる」ということで
tide には「潮目、潮流」という意味があり
それが turn 「回転する、ひるがえる」するわけですから
「流れが変わる、潮目が変わる」という解釈になります。
turn the tide で私が思い出すのは
80年代の Johnny Hates Jazz というグループです(近年再結成を果たしています)。
彼らは3人組の男性グループで、全英のみならず、全米TOP10入りも果たした
Shattered Dreams などのヒットを飛ばしました。
中でも Shattered Dreams は当時日本でも大ヒットで
地方都市のスーパーなどで流れる、歌ナシのBGMにも採用されるほどで
そうしたヒット曲はほとんどヴォーカルだったクラークが書いていたのですが
そのリードヴォーカル兼ソングライターだったクラークが脱退したため、
残った2人が新しいヴォーカリストを迎えて再出発をはかることになります。
その時のシングル曲が turn the tide という曲で
なるほど新メンバーを加えて、ここから形勢逆転しよう、
という意気込みで付けられたのだろうと、印象深く感じていました。
まあ結果的にはクラーク時代以上のヒット曲には恵まれず、
(やはりメインのソングライターが抜けるとバンドは厳しくなるんですね・・・)
尻すぼみになっていったんですが、
とにかく彼らの曲で turn the tide という言葉を初めて知ったのを覚えています。
as it happens は「偶然にも、たまたま、折りよく、折悪しく」。
このガスがハンクと面識があるという話は、実はウォルターに向けたメッセージになっていて
自分は何もかも把握しているぞ、と暗にウォルターに仄めかす材料になっています。
その場の誰にも気取られず、しかしウォルターだけにはプレッシャーをかけるという
ガスの切れ者感が伝わるシーンです。
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