モーツァルト・イン・ザ・ジャングル シーズン3 第6話より:

take a bullet
(誰かの)身代わりになる、甘んじて非難・責めを受ける


ロドリゴは今日中に楽団員と経営陣の交渉が合意に達しなければ
専属指揮者を降りると宣言する。

彼がNY交響楽団の専属指揮者であることは
グロリアがNY市から楽団存続の条件として突きつけられている事であり
それだけは、絶対に避けねばならない事であった。

そこでグロリアと、楽団員を代表してベティが合意を目指して本気の交渉に入る。

ベティは自分がこれまで何度もあった結婚のチャンスを自ら手放し
平凡な幸せを犠牲にして、楽団に人生を捧げてきたことを訴える。

I’m giving you everything you need.
こっちはあなた方の言い分を全部聞いてる。(グロリア)

But I still think we may be dead in the water.
だのに合意には程遠い気がするわねえ。(グロリア)

You know why I broke up those engagements?
私がなぜ婚約破棄を繰り返したと思う?(ベティ)

Because for 35 years, this orchestra has been my husband, my kids.
35年の間、この楽団が私の夫であり、子供だったからよ。(ベティ)

I missed vacations, holidays, weddings, funerals.
休暇も取らず、冠婚葬祭も欠席した。(ベティ)

I never traveled anyplace that my oboe didn’t take me.
旅行だって、いつも演奏絡み。(ベティ)

I love this fucked up orchestra.
私はこの楽団を心から愛してる。(ベティ)

I’d take a bullet for it. That’s what I’m offering.
命がけで。 それが私の覚悟よ。(ベティ)


dead in the water「暗礁に乗り上げている、身動きがとれずにいる、死んだも同然」

I still think we may be dead in the water
(まだ[交渉が]このまま暗礁に乗り上げそうな気がする)。

グロリアから見れば、もうかなり譲歩しているのに、
まだ合意できそうにない気がする、という感じです。

fucked up「しっちゃかめっちゃかの、混乱した、ぶっ壊れた」。

そして take a bullet は直訳すると「(誰かの盾となって)銃弾を受ける」、
そこから転じて「(誰かの)身代わりになる、甘んじて非難・責めを受ける」。

I’d take a bullet for it(それ[楽団]のためなら銃弾も受ける)
=「[楽団のためなら]命もかける、死んでもよい」。

That’s what I’m offering(それが私の提案である)
=「そういう覚悟で[この交渉に]臨んでいる」。

景気づけに互いにワインを酌み交わしながらの交渉なので
ドスの効いた熱い話し合いになっています。

しかしベティが若かった35年前といえば、まだまだ女性は結婚して
子供が出来たらキャリアを諦めるのが一般的な時代。

その時代には変人扱いを受けながらも音楽への愛を貫き
当時から在籍し続けるただ一人の女性団員として頑張ってきたベティ。

グロリアも音楽を愛する気持ちでは負けていないので
ここから問題解決に向けて、女同士の連帯感が生まれてきます。


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