ブレイキング・バッド シーズン2 第3話より:

worth a try
やってみる価値はある


トゥコに軟禁されていた現場から、ジェシーの乗り捨てられた車が見つかり
彼はハンク率いる麻薬捜査班に参考人として連行される。

ハンクは当然彼とウォルターが共に軟禁されていたことを知らず
ジェシーもそのことを気取られぬよう、取調べでは黙秘を続けていたが
ハンクは切り札として、軟禁現場で保護されたトゥコの叔父・ヘクターを証人として呼び寄せた。

しかし、ジェシーの顔を見知っているはずのヘクターは、なぜか知らない、と答えるのだった。

ヘクターのその証言のおかげでジェシーは釈放となり
ハンクの相棒の捜査官・ゴメスが彼に文句を言うシーンからです。

I told you, numb-nuts. This guy’s OG.
言ったろ、このマヌケ。奴は元ギャングだった男だぜ。(ゴメス)

(中略)

Stroke or no stroke, old school gangbang Mexicans don’t help the Feds.
揺さぶりをかけようがかけまいが、ああいう輩が協力するはずはない。(ゴメス)

All right already.
そうだな、もう分かったよ。(ハンク)

It was worth a try at least.
けど少なくとも試す価値はあったさ。(ハンク)


numb-nuts 「バカ、まぬけ」。

stroke は「打つこと、打撃」ということで、
ここでは(証人から証言を得るために)相手に打撃を与える=揺さぶりをかける、と解釈しています。

all right already は「はいはい、分かりましたよ」といった意味で
耳が痛いような小言を遮るとか、しつこい相手をそれで黙らせるようなニュアンスです。

そして worth a try は「やってみる価値はある」。

また試してみるという意味を持つ関連表現として

give a shot at~
~をやってみる

give it a shot
試してごらんよ

long shot
成功の見込みが薄い計画、ダメもと


といった言い方もよく使われると思います。

このシーンで再度登場するヘクターは、口がきけないので
手元のベルで意思表示をするんですが、そのチン!(Ding!)という音が
本当に効果的に使われていて、ある時はとてつもなく笑いを誘ったり
逆に恐ろしく不気味に聞こえたりと、いつもヘクターの鳴らす音には表情があります。

何の変哲もないベルの音なのに、巧みな演出によって表情がつけられていて
下手なセリフよりもずっと効果的にドラマを盛り上げていると思います。



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