遅ればせながら「大家さんと僕」を読みまして、著者の矢部太郎さんに興味を持って調べていたら、彼は語学習得にすごい才能のある方とのこと。
私は昔テレ朝の深夜にやっていた「金髪先生」で、矢部さんのことを見ていたんですが、そういえば「金髪先生」も洋楽で英語を学ぶ番組、彼は外国語に縁のある方なのかもしれませんね。
ともかく電波少年という番組の企画で、アフリカ人を笑わせるためにスワヒリ語を勉強しろということで、矢部さんはマンションの一室にこもってひたすら勉強。
食事前に行われるテストに合格しなければ、食事抜きという厳しい合宿(?)の様子がYoutubeにありました。
でもスワヒリ語ってとても難しいらしく、英語の this にあたる言葉が16種類あったりして、非常に苦戦しています。
しかも大体食事抜き(テストになかなか合格出来ない)なので、腹ペコ状態で泣きながら勉強・・・それが出来る時点で根性ありますよね、彼。
その後は見られないので調べてみたら、最後は立派に言葉を覚え、アフリカでお笑いライブに出場、爆笑を取ったようです。
そしてそうした経験を経て、矢部流の語学習得のコツを書いた本があり、これがまたアマゾンでプレミア価格で売られています。
この本のWeb上の引用文を拾い読みしてみると、彼なりの習得法が見えてきて、それはやっぱり実用的な言葉、単語でも良いのでどんどん話してコミュニケーションを取ること、最初は集中してリスニングを鍛えること、この2つが大きな軸になっているようです。
矢部さんは6か国語を習得したということですが、その中のコイサンマン語(ブッシュマンの村)は、そもそも文字がなく、本や文献で覚えることが出来ない言語。
それこそ耳と口を動かして頭に叩き込む、そういう感じで覚えていく。
彼の場合は言葉が出来ないと食事がない、という極限状態なので、とにかく必要なことから片っ端に覚えていく、出来るだけ短期間に最低限の会話が出来るようになる、そのための方法なので、普通の人とは動機や目的はちょっと違うかもしれません。
でも言葉の目的というか始まりは、おそらく互いの意思を伝え合うことだったと思います。
映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」でも、ケヴィン・コスナーがネイティブアメリカンの人々と、身振り手振りで単語を発しながら会話をするシーンが出てきたと思いますが、あれが一番シンプルなコミュニケーションの方法なのかなと、矢部さんの話を聞いて改めて思いました。
矢部さんも「最初はとにかく耳を鍛えていくことが、言葉の世界の入り口へのパスポートだったのかなと、今振り返ってみて思います」と書かれていて、なるほどと思ったので、早速ロシア語でこれをやってみました。
もちろん意味は分かりませんが、日本語の字幕と重ね合わせて聞いていると、確かに何となく簡単な単語は分かってきます。
次はそれを軸に、単語をつなげて何か話してみる、相手の反応を聞き、また新しい言葉を仕入れる、この繰り返しでだんだん言葉の引き出しが膨らんでいく・・・そんな感じでしょうか。
ここまでは、ホウホウなるほどなあ・・・と思ったわけですが、じゃあロシア語をやるかというと、やりません。
このサイクルを続けるためには強い動機が必要なんですが、それがないのでロシア語は続けられません。
この点について矢部さんも「その言葉が自分にとって、どうしても必要なんだという状況を作り出せることを祈っています」と書かれており、語学習得には強烈なニーズがあると良いというわけです。
あとは多分、矢部さんは難関の気象予報士にも合格されていたりするので、もともと勉強が好きなタイプ、もしくは集中力を上手く活かせる人なのかなと思っています。
大家さんとのやり取りからも優しい人柄がうかがえて、ちょっとファンになってきました。