「誇り高き悪魔 KISS ジーン・シモンズ」名言だらけのおすすめドキュメンタリー

NHK-BSで録画しておいた「誇り高き悪魔 KISS ジーン・シモンズ」というドキュメンタリーを見ました。 上の動画は2016年来日時、日経新聞(やっぱビジネスマンなのだな・笑)の取材映像です。 動画の中で火を吹くパフォーマンス中に誤って燃料を飲んでしまい、死にかけたと話していますが「解毒剤で目、鼻、ケツからも燃料が出てきてしんどかった」という彼の言葉は「大変だった」と、さらりと綺麗にまとめられています(笑)。 リスニングを訓練すると、そういう切り取られているところまで味わえるのが楽しいところです。 「誇り高き悪魔 KISS ジーン・シモンズ」を見る前にも、リアルタイムではないものの曲も聞き、ジーン・シモンズは「めちゃくちゃ舌が長い人」そして「かたせ梨乃と良い仲だった」というのも知っていました。 その程度の知識で、最初は何となく見ていたんですが、この人のストーリーが深くて、どんどん引き込まれていきました。 お母さんはホロコーストを生き延びたユダヤ人、従って自分もユダヤ人。 アメリカに渡り、生きるために母子共に身を粉にして働き(お父さんは彼らを捨てて出て行った)、やがて音楽に出会うと、成功するためにユダヤ人の名前を捨て、アメリカ的な響きのジーン・シモンズとなる。 ヴィジュアルで個性を打ち出し、厳しいアメリカの音楽業界でいかに目立つか、そして売れるか、その試行錯誤の過程を語っていました。 奇抜なメイクと衣装、長髪に悪魔というコンセプト、これがもし1950年代(エルヴィス・プレスリーの全盛期)だったら、自分たちのやり方は通用しなかったろうと分析するジーン。

Right thing, right place, right time.

正しいことを、正しい場所で、正しい時に。

成功にはそれが重要、と言っていました。 同じ言葉は上記の日経のインタビュー映像にも出てきますので、かなり彼の心に深く刻まれているんでしょうね。 また彼はバンド活動のみならず、多角的なビジネスを運営し「ロック界最強のビジネスマン」と呼ばれています。 これまで企画したグッズの総売り上げは1000億円超、自身の純資産は370億円以上。 ジーンが金銭を追い求める姿には賛同の声ばかりではないものの、彼曰く 「飢えている人に優しい言葉をかけただけでは、彼らは死ぬ。」 「俺がクソ野郎で、消えろ!と罵声を浴びせても、金さえ渡せばそいつは生き延びる。」 「金がなければ家族も養えない、何も出来ない。」

Fuel of life is money.

生きる糧は金さ。

自分はもっともっと金が欲しい、それを否定するやつはウソつきだ、とニヤリ。 起きている時は毎日仕事をするジーンは、自社ブランドの製品を全米のスーパーで売ったり、レストランチェーンの経営にも忙しい様子。 他のバンドメンバーにはワーカホリックと称されるほど働き続けることについて、彼は

A third of your life is spent in a coma. That's an enough rest.

人生の3分の1は寝てるんだ。 休みはそれで充分じゃないか。

と、せっせと働き続けます。 また来日中に代々木上原のフレンチレストラン(sioという店)を訪れた際、これから海外出店したい、世界で成功する秘訣を教えて欲しいと言うシェフにはこんなアドバイス。

Learn English. That's it.

英語を学びなさい。それだけ。

English is the secret of all the big money.

英語は大金をつかむ秘訣だ。

彼は幼いころにイスラエルからアメリカに渡り、独学で英語を学び、教職にも就いていました。 そんな経験からか、何よりもまず英語、迷いなくそう言い切る姿が印象的でした。 更に店の名刺を渡されるも、裏に何も記していないことを指摘。 「50%の確率でお客は裏も見るのに、何も書いてないとは。」 そしてすぐにスタッフに紙とペンを要求すると、その場で店のロゴをデザインし始めるジーン。 「これを明日必ず商標登録すること、君らがしないなら私がする。」 と言って店を出ます。 送迎の車中で、ビジネスにおいて商標登録が如何に大切かを語り始める。

Trademarks are everything.

商標登録が全てだ。

They can make you so much more money than you'll ever make working.

労働とは比べ物にならないくらい大きな富を与えてくれる。

実はKISSの結成当時、すでに同じ名前のバンドがいたが、我々はKISSを商標登録し、向こうはしなかった。 現在、彼らのことは誰も知らないだろう。 商標登録こそが全てなんだ、それをあの店の若者にも教えてあげたのさ、と語っていました。 ロックスターのドキュメンタリーを見ていたはずが、まるでビジネス書でも読んだような気分になる、非常に濃い内容の番組でした。 NHKの独自取材で作った番組っぽいので、そのうち再放送があるかもしれません。 ジーンの英語もとても聞き取りやすく、内容も名言だらけなので、もし再放送された際は(リピート再生でリスニング出来るよう)録画がおすすめです。 KISSに興味ない方でも、見れば何かしら心に響くものがあるんじゃないかなと思います。

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