先日から「Yukio Mishima: The strange tale of Japan’s infamous novelist -「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」を読んでいます。
自伝的要素を含んだ三島作品の紹介。
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(1)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(2)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(3)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(4)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(5)
Mishima’s novels during the 50s mostly mined the same suggestively autobiographical vein as Confessions of a Mask.
50年代の三島の小説は、ほとんどの場合「仮面の告白」と同じ自伝的な雰囲気が感じ取れる。
vein「脈、静脈、血管、(ある一貫した)気持ち、気分、感覚、調子、やり方」。
In Forbidden Colours (1951), an ageing writer manipulates a young gay man who has become engaged for convenience and financial security.
「禁色(きんじき・1951)」では、年配の作家が、利便性と経済的安定のために女性と婚約した若いゲイの男性を操る。
In Temple of the Golden Pavilion (1956), an acolyte at the temple is transfixed by its beauty in the belief that it will be destroyed by the bombing raids – and when it survives the war, he takes it on himself to destroy it.
「金閣寺(1956)」では、いずれ空襲によって破壊されると信じている寺の美しさにある学僧が釘付けになり、
transfix「(先のとがったもので)突き通す、刺し通す、~をくぎづけにする、立ちすくませる」。
- and when it survives the war, he takes it on himself to destroy it.
戦火から寺が無事に残ると、彼は独断でそれを破壊する。
take it on oneself to~「(その人が)~を独断でやる、~を勝手にする」。
And in Kyoko’s House (1959), a boxer takes up right-wing politics, while an actor becomes involved in a sado-masochistic sexual relationship that ends in a double suicide.
そして「鏡子の家(1959)」では、右翼思想に染まるボクサーと、SMの性的関係に巻き込まれ最終的に相手と心中を図る俳優。
take up「取り上げる、手に取る、上方に連れていく、(乗り物に)乗せる、吸収する、取る、ふさぐ、要する、奪う、(仕事・趣味などを)始める、~に従事する」。
double suicide「心中」。
「鏡子の家」は、個人的に好きな作品で、結構分厚い長編なんですが、一時期よく読み返していました。
未だ若く裕福で離婚歴のある女性・鏡子が、自らの屋敷をサロンとして開放し、そこに集う人々の悲喜こもごもを傍観者として見ているような話です。
まず屋敷の女主人の「鏡子」という名前が、何とも優雅な美女の響きで憧れました(笑)。
幼い娘と二人で不自由なく大きな館に暮らし、ボクサーや芸術家、エリートビジネスマンらが夜な夜な彼女のサロンに集うという、何やら妖しげな日々。
最初はそれぞれ経済力や芸術性、美貌、運動能力に恵まれた華やかな人々の話ですが、だんだんと彼らの人生に暗雲が立ち込め、それは優雅に生きていた鏡子も例外でなく・・・という、文体は洒落ていて物語も軽めながら、読んだ後に何かが心に残る作品です。
「禁色」は、きんしょく、ではなく「きんじき」だったんですね(笑)。
これは未読なので、ぜひ読んでみたいと思っています。
理由は単純明快!「少ないコストでしっかり楽しく学べるから」。
私自身の経験(高機能でビックリ)をびっしり書いていますので、良かったら読んでみてください。
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