今日から「Yukio Mishima: The strange tale of Japan’s infamous novelist -「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」を読んでいます。
Standing on a balcony, as if on stage, the small, immaculate figure appeals to the army assembled below.
まるで舞台に立つかのようにバルコニーに立つと、小さくも清浄な姿が眼下に集った隊員に訴える。
immaculate「汚れていない、しみひとつない、欠点のない、完全な、清浄な、純潔な、無垢の」。
The figure is Yukio Mishima, real name Kimitake Hiraoka.
それは三島由紀夫、本名平岡公威の姿だ。
He was Japan’s most famous living novelist when, on 25 November 1970, he went to an army base in Tokyo, kidnapped the commander, had him assemble the garrison, then tried to start a coup.
彼は1970年11月25日、東京の自衛隊駐屯地に赴き司令官を誘拐し、駐屯部隊を集めさせ、クーデターを起こそうとしたとき、当時存命中の日本の作家の中で最も有名だった。
garrison「守備隊、駐屯部隊、(隊が守る)要塞、駐屯地」。
He railed against the US-backed state and constitution, berated the soldiers for their submissiveness and challenged them to return the Emperor to his pre-war position as living god and national leader.
彼は米国が関与する国家と憲法に抗議し、隊員たちの従順さを非難し、天皇を戦前の現人神と国家指導者としての地位に戻すよう人々に迫った。
rail against「罵倒する、ののしる、愚痴る、憤慨・抗議する」。
berate「ひどくしかりつける、がみがみ言う、非難する、とがめる」。
The audience, at first politely quiet, or just stunned into silence, soon drowned him out with jeers.
聴衆は最初は行儀よく静かに、もしくはただ唖然とし沈黙したが、すぐに嘲笑で彼(の声)をかき消した。
drown out「立ち退かせる、消す(洪水が人や物を)押し流す、(大きな音が小さな音を)かき消す」。
jeer「冷やかす、野次る、からかう、嘲る、ばかにする」。
Mishima stepped back inside and said: “I don’t think they heard me.”
三島は中に戻ると「彼らに僕の声が届いたとは思えない」と言った。
Then he knelt down and killed himself by seppuku, the Samurai’s ritual suicide.
そして彼はひざまずき、武士の儀式的な自殺である切腹により自決。
Mishima’s death shocked the Japanese public.
三島の死は日本国民に衝撃を与えた。
He was a literary celebrity, a macho and provocative but also rather ridiculous character, perhaps akin to Norman Mailer in the US, or Michel Houellebecq in today’s France.
彼は文学界のセレブリティであり、マッチョで挑発的かつ理不尽な人物で、おそらく米国のノーマン・メイラー、または今日のフランスのミシェル・ウエルベックに類似するかもしれない。
be akin to~「類似する、類する、似ている、近い」。
But what had seemed to be posturing had suddenly become very real.
しかし見せ掛けと思っていた事が突如、非常に現実味を帯びた。
posturing「気障な・気取った・見せ掛けの行動(態度)」。
It was the morning of the opening of the 64th session of the Diet, Japan’s parliament, and the Emperor himself was present.
この日は天皇自身も出席する第64回の国会開会日であった。
The prime minister’s speech on the government agenda for the coming year was somewhat overshadowed.
首相の施政方針演説もやや影が薄くなった。
No one had died by seppuku since the last days of World War Two.
第二次大戦末期以降、切腹で絶命した人など居なかったのだ。
子供のころに、父親の本棚にあった三島由紀夫の展覧会のパンフレットか何かを見て、非常に怖かったのを覚えています。
確か半裸で彼が磔になって、身体に矢が刺さり血を流しているような、そんな写真でした。
更にオープンリールに、彼が市ヶ谷駐屯地で自決した時のニュースも録音してあって、緊迫感ある当時の様子も聞きました。
何か彼の生きざまみたいなものが父は好きだったらしく名前は聞いていましたが、彼の作品を読んだのはかなり後、20代だったと思います。
古本屋で気軽に読めそうなエッセイを見つけて「これもあの磔のおっかない人(更新されないイメージ・笑)のなのか」と手に取ったらこれが面白くて、そこから一時期ハマりました。
それ以来、たまに読み返す作品がいくつかあります。
彼の最後の訴え方は過激でしたが、言いたかった事は何となくわかる気がしますし、今この時代にふと彼の訴えを思い出す人も少なくないのかもと思います。
理由は単純明快!「少ないコストでしっかり楽しく学べるから」。
私自身の経験(高機能でビックリ)をびっしり書いていますので、良かったら読んでみてください。
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