ブレイキング・バッド シーズン4 第3話より:

that’s all it takes
それだけで十分(きっかけ、動機になり得る)


スカイラーのあの手この手の交渉により、
かつてウォルターが働いていた洗車場の買収に成功する。

相場よりも安い価格で手に入ったこともあり、
ウォルターは買収成功を祝うべく、300ドル以上もする高級シャンペンを奮発するが
そのことがせっかくの祝いの席を口論の場にしてしまう。

表向きは自分たちはお金に困っているのだから
そんなお金の使い方は不自然であり、
どこから自分たちの作り話に綻びが出るか分からないのだから、慎重に行動すべきだと
スカイラーがウォルターに釘をさすシーンからです。

I bought one bottle of champagne, one single bottle, Skyler.
私はただシャンパンを一本買っただけさ、スカイラー。(ウォルター)

I paid cash. That’s it.
現金払いで。それだけだ。(ウォルター)

That’s all it takes, okay?
それだけで十分なきっかけになる、分かるでしょう?(スカイラー)

I mean, look at Watergate.
ウォーターゲート事件だってそう。(スカイラー)

One little piece of duct tape, left in a door,
ドアに残ったほんの小さなダクトテープが引き金で、(スカイラー)

brought down the president of the United States.
合衆国大統領が失脚した。(スカイラー)

What, I’m Nixon now?
何だって、私はニクソンだって言いたいのか?(ウォルター)

No, what I’m saying is the devil is in the details, okay?
いいえ、ただ細部にこそ注意を払わなきゃってこと、そうでしょう?(スカイラー)

One little mistake, one slip-up in our story, that could ruin us.
たった一つの小さなミス、小さな間違いが私たちを滅ぼしかねないのよ。(スカイラー)


that’s all it takes は「それだけで十分(きっかけ、動機になり得る)」ということで
ここで that (is all) が示すのは「ウォルターが高いシャンパンを買った行為(が全て)」、
it が示すのは「自分たちの破滅」、takes は「物事の成就、成功に必要なこと」、
それらを合わせると「その行為は自分たちの破滅に必要なこと全てである」、
すなわち「それだけで十分なきっかけだ」という解釈になります。

that’s all it takes は、前後の話の流れによって
その訳し方に違いが出てくるフレーズですが、基本的には

1.that (is all) 「ある行動、出来事(だけで十分、それらが全て)」
2.it 「1のことが引き金となって予測される事態」
3.takes 「2が現実となるために必要なこと」

という解釈であてはまるのでは、と思います。

ウォーターゲート事件は、70年代にウォーターゲート・ビルの警備員が見つけた
ドアに貼りついたダクトテープ、これを発端として
ニクソン大統領の失脚を招くスキャンダルに発展した事件であり
そういう些細なことが大きな災いを招いた例もある、とスカイラーは言っているんですね。

the devil is in the details は「悪魔は細部に宿る(諺:あらゆる細部に落とし穴が潜む)」、
これも細かい部分にこそ落とし穴が潜む、気をつけねばならないというわけです。



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