ザ・メンタリスト シーズン3 第20話より:
mercenary
傭兵、欲得ずくの、報酬目当ての
フィッシャーという男が、自らが営む家電修理店で遺体で見つかる。
彼は何の犯罪歴も無く、ごく普通の市民と思われていたが、
身辺調査を続けていくと、何と過去に傭兵をやっていた過去が明らかになった。
そこでかつてフィッシャーの同僚だったルーガーという男に
早速リグズビーが聴取する。
We provide services the regular army isn’t equipped for.
俺たちは通常の軍隊が対応しないサービスを提供する。(ルーガー)
Wait. You and Fisher were mercenaries?
待って。 君と被害者のフィッシャーは傭兵なのか?(リグズビー)
Private security contractors.
民間の契約警備員だ。(ルーガー)
Where did you do most of your contracting?
主な派遣先は?(リグズビー)
All over. Mostly Iraq.
どこでも。イラクが多いがね。(ルーガー)
provide 「供給する、足りない物を補給する」、
また「家族を養う」という意味でも使われているようです。
(「ブレイキング・バッド」の中で、麻薬製造をためらうウォルターに対し
ボスであるガスが A man provides「男は家族を養うものだ」というセリフがありました。)
equip 「持たせる、装備する」、これは equipment「設備、装備、備品」の equip ですね。
そして mercenary は「傭兵、欲得ずくの、報酬目当ての」ということで
文字通りお金で戦地に向かう傭兵を表すこともあれば、お金のためにある行動をする人、
例えばお金持ちの異性を誘惑しようとする人、をさす事もあります。
ロンドンに、モデルなどが多く住むメイフェアという高級でお洒落エリアがあり
そこから派生した Mayfair mercenaries「メイフェアの傭兵たち」という言葉があります。
(もう20年くらい前に聞いた言葉ですが)
これは美貌を武器に、イギリスの富裕層の男性との結婚を狙う女性たちのあだ名で
彼女たちの多くがメイフェアに居を構えていることから、その名がついたと言われています。
彼女たちの多くはブロンドで、若くてスタイルが良く、それこそモデルや女優修行などをやりながら
お金持ちの男性に見初められ、願わくば20代で結婚し、子供も産んで、
イギリスでそれなりの社会的地位を確立するのがゴールと言われていた存在でした。
何でこんな言葉を知る事になったかと言うと、
当時のクラスメイトの一人がどうもその Mayfair mercenaries に仲間入りしたらしく
ある時から急に服装や持ち物が高級かつ派手になり、
あまり授業にも来なくなったのがきっかけでした。
彼女の変貌はクラスでも噂の種となり、きっと彼女もコレよ、と
一人の生徒が差し出した雑誌に、Mayfair mercenaries の記事が載っていたのです。
確かに彼女は入学した日から皆が思わず振り返るほど目立つ美女で、若く
何故かあまり英語の勉強に興味は無さそうでした。
きっと半分観光で来たのだろうと思っていましたが、その時改めて振り返ってみると
なるほど結婚相手を見つけに来ていたような気もしました。
まあ自分も含め、クラスの大半の女子はごくごくフツーのルックスでしたから
当時はやっかみ半分で彼女を Mayfair mercenaries と決めつけた感は否めません(笑)。
ただ、あまりお金がないからと当初はアルバイトをしていたはずの彼女が、
ある時からブランド品のバッグを持ち始め、高級な服を着て、
ヘアスタイルも洗練されてきたのは事実で、それがどうしてそうなったのかは
詮索好きなイタリアチームがしつこく訪ねても、ついに最後まで教えてくれませんでした。
今でも時々、彼女はあれからどうなったんだろうと思う時がありますが
もしかしたら本当に○○社長夫人とか、○○公夫人になっているかもしれません。
いやもうむしろ、なっていて欲しいです(笑)。
Mayfair mercenaries は、多分当時の世の中的には、打算的で狡猾、
美貌で何でも手に入れようとする図々しい女性というニュアンスだったと思いますが
自分の持つ資質を最大限活用して、より良い生活を手に入れようとするのは
形は違えど皆がやっている事でもあります。
ただ美貌は努力というより運不運の産物で、それが必要不可欠という点で、
彼女らの方法はどこか不公平に思えるわけですが
自分のウリをよく分かっていて、ためらいなくそれを利用している様子に密かに感心しました。
久しぶりに mercenary という単語を聞いて、ふと彼女の事を思い出してしまいました。