少し前の週刊誌に、皇室の方々の英語習得法の記事が載っていて
面白そうだったので読んでみました。
私たちが普段ニュース映像などで目にするところでは
はたして皇室の方々がどのくらいの英語の使い手なのか?
イマイチ分かりづらいと思いますので、記事からエピソードを抜粋してみます。
・2012年6月に行われた英国エリザベス女王の即位60周年式典に
天皇・皇后両陛下が参加され、エリザベス女王の隣の席で親しくご歓談。
・その折、東日本大震災で日本をサポートしてくれた英国要人を日本大使館に招き
彼らを前に陛下が英語で感謝のスピーチを述べられた。
・米科学誌「サイエンス」に陛下が寄稿された魚類研究に関する英語の論文、
並びに皇太子殿下が水問題についてスペインで講演された演説内容の抜粋は
英語を学ぶ学生のお手本として、大学生向けの英語教科書に収録されている。
・現在天皇陛下は多忙なため、論文の英訳は専門家に任せているが、公務の合間を縫って
英訳された自らの論文を確認し、自分の意図したニュアンスと違う英文は直している。
・故 秩父宮妃勢津子さまは皇室ナンバーワンのクイーンズ・イングリッシュの使い手で
当時の英首相サッチャー氏が「パーフェクト」だと驚いたほど。
ということで皇族の方々は、単に英語に堪能であるというだけではなく
品格ある綺麗な英語の使い手が揃っておられるという印象を受けますね。
この中で故 秩父宮妃勢津子さまは、明治時代としては珍しいイギリス・ロンドン生まれで米国ワシントンD.C.のフレンドスクール(現シドウェル・フレンズ・スクール)をご卒業という帰国子女なので、特別に流ちょうな英語をお話しになっていたようです。
皇太子時代の天皇陛下の英語
陛下の1950年代の映像です。正統派の英語、という感じがします。英国のロイヤルファミリーとの交流を通じて、スラングとは無縁の正しく美しい英語にたくさん触れられたことと思います。
しかし天皇陛下や皇太子殿下を含め、皇族の方々には
英語習得に効果的と巷で言われている、幼少時代の海外生活や留学経験はありません。
にもかかわらず英国の要人が舌を巻くほどの英語の使い手になるとは、これいかに?
美智子様の英語スピーチ
優しく美しい英語、発音も聞きやすく、日本人女性が後天的に目指すうえでお手本に出来そうな英語だなと思いました。
高円宮妃久子様の英語スピーチ
久子様は独身時代にケンブリッジ大学に留学、7年間の英国生活を経験されています。そのせいか、英語のスピーチにとても慣れていらっしゃいますね。カンペもなく、その場の反応を見ながらお話されているようで、現代の皇室ではトップレベルの英語の使い手なのでは?と思いました。
というわけで、我々庶民にも参考にできそうな
皇族の英語習得法が4つのポイントと共に紹介されています。
1.幼少時にできるだけ英語に親しませる工夫をする
今上天皇には皇太子時代、エリザベス・バイニング夫人という米国人家庭教師がついていて、
週2回、英語の授業を受けていたそうです。
陛下の授業は12歳(クリティカル・エイジですね)から始まりました。
授業はバイニング夫人によって「英語への興味をかきたてる」よう工夫がされており
例えば魚が好きな陛下のために、魚類図鑑を英語に訳して説明したり
同年代の米国人の少年とモノポリーをするといった、独創的な授業。
また今の皇太子殿下の幼少時には、
表面に英単語、裏面に日本語の意味が書かれたカードを使ったカルタ遊びなどを通して
自然と英語に親しむ環境が整えられていたとか。
皇太子殿下の英語スピーチ
一年間の英国留学を経験されている皇太子殿下。発音だけで言えば、もっと上手な方もたくさんおられると思いますが、文法や言い回し、間の取り方(堂々と焦らない)などはしっかりトレーニングを積まれているように思います。エリザベス女王ともじかにお話しされる立場の方ですから、私たちのように海外ドラマで勉強というわけにもいきませんよね。
そして昨今では、愛子内親王も英語学習を始められ
皇室行事などで機会を得た際には、
片言の英語で各国のゲストたちと挨拶を交わされているそうです。
2.徹底した日本語の排除
先のバイニング夫人の授業では、一切の日本語の使用を禁じられていた天皇陛下。夫人の授業で分からない言葉があった時にも、英和辞書の使用は厳禁で
「分からない」と陛下がバイニング夫人に伝えると、
夫人は陛下がその言葉の意味を理解するまで、絵や言葉、身振り手振りで意味を伝える、
ということをしていたそうです。
これにより「英語を英語のままスピーディに理解する」能力が身についたとのこと。
この日本語を介さない手法は、日本語が母国語として定着する前の幼少時から取り組むと
とても効果的なのだそうです。
3.英語は目的ではなく、手段であると叩き込む
今上天皇が中学生時代に使っていた英語の教材は、経済学者ジョン・ガルブレイスの「不確実性の時代」という当時のベストセラー。
これは英語学習自体が目的なのではなく、
自分の到達地点や興味、専門分野を深めるための手段であることを叩き込む、
という意図で、教材が選定された結果だそうです。
それにしても中学生で、
ハーバード大学教授である経済学者の書いた原書を読んでいたとは・・・。
皇族だろうと一般庶民だろうと、卓越した英語力を身につけるには
やはり並々ならぬ努力が不可欠であることが分かるエピソードですね。
また将来、国家要人や王族の前で堂々と、洗練された英語を話すために
歴史的に有名な政治家の演説や、名スピーチの丸暗記なども行っていたそうです。
このあたりは私たちにも、今からでも真似できそうな方法ですね。
4.英会話・英作文の徹底した実践
皇族の方々が、平時に各国とやり取りをする際には宮内庁と外務省を通して文書で行うことが多く、
これが英作文のまたとない訓練になっているそうです。
これは皇室にとって必要不可欠な公務であり、
この「必要に迫られた」英語との接触こそが、英語力を磨く原動力につながるとのこと。
確かに、英語をいつ使うのか分からない状況で取り組むよりも
内容を理解して返事をしなければならないとか、
手紙を書かなければならないという状況に追い込まれた方が
より習得に熱が入るだろうと想像がつきますね。
――――― というわけで、確かに皇族の方々には専属の家庭教師や、
幼少時から英語に触れる機会が多いという点で、
一般庶民よりも恵まれた環境と言えそうですが結局のところ、
・語学に近道はない
・モチベーションを高める工夫をする
・自分にとって英語とは、何をするための「手段」なのか
・英語を習得するためにどういう手法を選択すべきか
これらの点をもう一度考え抜いた上で、たゆまぬ努力を重ねること。
それが英語を身につける上で重要だということが分かる内容でした。
5.眞子さま、佳子さまの英語
皇室も新世代となり、皇太子さまはオックスフォード大学、眞子さまはレスター大学、佳子さまはリーズ大学にそれぞれ一年間の英国留学をされています。
佳子様の英語スピーチ
声とリズムが良く、聞きやすい英語と感じました。確かダンスがお得意だったと思いますが、リズム感が優れているんでしょうか。英語特有のリズムというか、コツをつかんでおられるような気がします。もしあともう一年留学されていたら、かなり上手になりそうな?
眞子さまの英語スピーチ映像は見つかりませんでしたが、レスター大学の担当教授の方によれば、とても礼儀正しく熱心な生徒であったそうです。
その教授とのやり取りを見た感じでは、しっかりと教授の話を聞きながら会話をされている様子があったので、大学で専門分野を学ぶのに支障ない英語力がおありだと思います。
これまで様々な皇族の方々の英語を見聞きしてきましたが、個人的にはペラペラと流ちょう、というより品のある正しい英語を継承しているという印象を受けました。
エリザベス女王の英語にしても、決して早口ではなく、落ち着いた間を置きながら、美しい発音でお話しになります。
そこは我々庶民とは違い、やんごとなき方々特有のリズムと抑揚があるようで、皇室の方々の英語もそれに準じたスタイルという気がします。
「英語が上手」というと、どちらかというと打てば響くような素早い受け答えとか、ペラペラとスピーディな方が、英語に慣れた上級者のような印象を持ったりしますが、こういうゆったりとした英語もまた美しく優雅で素敵だと思います。
理由は単純明快!「少ないコストでしっかり楽しく学べるから」。
私自身の経験(高機能でビックリ)をびっしり書いていますので、良かったら読んでみてください。
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