先日から「Yukio Mishima: The strange tale of Japan’s infamous novelist -「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」を読んでいます。
「午後の曳航」The Sailor Who Fell From Grace with the Sea(英題)。
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(1)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(2)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(3)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(4)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(5)
・「三島由紀夫:悪名高き作家の奇妙な物語」(6)
Mishima’s subject matter was his own, but in style, at least, he was held to be a protege of the Nobel-prize winner Yasunari Kawabata, who saw the function of literature as artistic, not propagandistic.
三島の主題は彼自身だったが、少なくとも文体においては、文学の役割はプロパガンダではなく芸術だと捉えた、ノーベル文学賞受賞者の川端康成の弟子と見なされていた。
protege「被保護者、子分」。
Much of Mishima’s writing seems to cleave to this belief absolutely, with its formal, almost traditional style focusing on intensely sensual description above all else.
三島の著作の多くは、何よりも非常に官能的な描写に焦点を当てており、その几帳面で古風とも言える文体で、この信念と完全に分裂しているように見える。
cleave「(斧などで木目にそって)裂く、割る、切り開いて進む、かき分けて進む、(意見・利害の対立で)分裂させる、隔離する」。
above all else「何をおいても」。
Turned to bodies, clothes and scent, this selective depiction is almost fetishistic.
身体や衣服、香りについては、それらのこだわりある描写にフェティシズムすら感じる。
depiction「描写、叙述」。
selective「選択能力のある、目の肥えた、選択された、えり抜きの、義務的ではない」。
“The shocking embrace of sheer nylon and the imitation damask of the couch gave the room a sense of agitation… The sharp hiss of the sash unwinding, like a serpent’s warning, was followed by a softer swishing sound as the kimono slipped to the floor.”
「薄手のナイロンと模造ダマスクのソファの衝撃的な抱擁が、部屋に興奮をもたらした・・・蛇の警告のような、帯がほどける鋭いシュッという音のあと、着物が床に滑り落ちるするりと柔らかな音が続いた。 」
agitation「(人心の)動揺、興奮、扇動、アジ、ゆり動かすこと、攪拌」。
(From The Sailor Who Fell From Grace with the Sea, 1963)
(1963年「午後の曳航」より)
「午後の曳航」の描写の部分は、原文は違うと思いますが、手元に本がないため未確認です(汗)。
この描写は多分、主人公の少年が母親と若い船乗りの愛し合う様子を、隣部屋の穴から覗いている場面だと思うんですが、長々とエロティックな描写が良いんです(笑)。
本作の英題は The Sailor Who Fell From Grace with the Sea(海の栄誉から落ちた船乗り)。
思春期のまっすぐさ(残酷さ)が大人の嫌な部分とぶつかって起こるドラマという点で、ちょっとサガンの「悲しみよ、こんにちは」に似てるかなと思います。
三島作品のどれから読んだらよいか迷っている方には、個人的にこの「午後の曳航」はおすすめです。
面白くてきっとぐいぐい引き込まれると思います!
理由は単純明快!「少ないコストでしっかり楽しく学べるから」。
私自身の経験(高機能でビックリ)をびっしり書いていますので、良かったら読んでみてください。
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