モーツァルト・イン・ザ・ジャングル シーズン1 第2話より:

take the edge off
~を和らげる、(緊張感や感情を)穏やかにする


ロドリゴに演奏を認められ、NYフィルのオーボエ奏者の座を掴んだヘイリー。

ついに楽団員として初めての合同練習の日がやってくる。

彼女を楽団に誘ってくれたシンシアと共に練習場にやって来ると
裏方事務のディーディーが、
緊張しまくっているヘイリーに鎮静剤を薦めてくれる。

Oh, this is Hailey.
彼女はヘイリー。(シンシア)

It’s her first day.
今日が彼女の初日よ。(シンシア)

Wow. Congrats.
そりゃすごい。 おめでとう。(ディーディー)

Thank you.
ありがとう。(ヘイリー)

You seem a little stressed.
緊張しているようだね。(ディーディー)

Could I suggest a light beta blocker on the house?
軽いベータ遮断薬をあげようか?(ディーディー)

A little Inderal just to take the edge off?
少量で緊張が和らぐよ。(ディーディー)

No, I’m fine. Thank you.
いえ、大丈夫です。 ありがとう。(ヘイリー)


stress「(物理的な)圧力、(精神的な)重圧」。

このシーンの字幕では stress に「緊張」とあてられています。

「緊張」というと nervous がすぐに思い浮かびますが
nervous には「臆病な、くよくよと心配する、気の弱い(おどおどした)」など
若干ネガティブな意味合いもあり
この場面での「緊張」とはちょっと異なるニュアンスです。

また自分から I’m a little nervous と言うのはともかく
NYフィルの一員に選ばれた時点で、実力がないはずはなく
プロフェッショナルの演奏家のはずです。

そのプロに向かって「自信がなさそう、おどおどして見える」と他者が言うのは
やはりちょっと失礼な表現かと思いますので
その点も踏まえると、この場面で「緊張」を表すなら
やはり nervous よりも stress が適しているのでしょう。

beta blocker「ベータ遮断薬」。

調べてみると日本では主に血圧を下げる薬として知られ
興奮状態(高血圧状態)を作り出すベータ受容体の活動を抑える薬、ということなので
つまり興奮を抑える薬「鎮静剤」と思われます。

on the house「店のおごり」、ここでは「楽団のおごり」といった感じです。

Inderal「プロプラノロール(ベータ受容体の活動を抑える薬物)」。

そして take the edge off は「~を和らげる、(緊張感や感情を)穏やかにする」。

直訳すると「(刃物の)刃先・尖りを取り除く、刃をなまらせる」という事で
イライラや興奮を鋭い刃先と見立て、それを取り除く
=「~を和らげる、(緊張感や感情を)穏やかにする」となります。

ドラマを見ていると、お酒を飲む口実として頻繁に出て来る表現で
to take the edge off(イライラ、むしゃくしゃした気分を変えるために)
バーに行ったとか、深酒をした、なんていうセリフがよくあります。


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